2024-08-08 19:30-21:00
星座の写真を撮ってくるという課題
星座の写真って、案外難しいものです。もちろん、なんの星座を撮るのかにもよるしどう撮るのかにもよります。とりあえず、自分が持っているカメラとレンズでスペックはほぼ決まったようなものなのと、三脚固定で追尾はしません。するとF値の明るいレンズを使えばISOを下げられるし、そうでない場合は標高が高く光害の少ないような条件の良い場所で、気象条件に恵まれないと綺麗なものは撮れません。
それに、被写体が星っていう闇の中に光ものを撮るわけで。とりわけ特殊というか、星景写真、星野写真、などなど言葉の分類はいろいろあると思いますが、今回は「星座」です。星座ってなんだろうね?
1922年の第1回IAU総会では、整理された88の星座名と略号についての合意がなされました。続く1925年の第2回総会では星座の境界線が提案され、それが1928年の第3回総会で採択されました。
https://www.nao.ac.jp/news/blog/2022/20220809-constellation.html
星座は、世界中各地で親しみ愛されていたのでいろんな星座が存在しているのは事実です。例えば、北海道では「アイヌの星座」があって、キタキツネやエゾオオカミが登場します。中国には中国の星座がありますし、オーストラリアのアボリジニの人たちにも星座があります。共通しているのは、やはり目立つ星座はどの地域でも様々な呼称があり、その星(恒星)に豊作を願ったり、勝手に不吉な予感を抱いたりして過ごしていたようです。
今回は、IAUが整理した88星座を元に好きな星座を選んでもらって撮ってくることとなっています。
晴れないと撮れないし、撮れる場所を知ってないと撮りにくい
受講生が星座を選んだ時、その星座だとこういった理由で、難しいからオススメできない。とか、こういう難しさがあるけどその問題をクリアできるかどうか?と確認しながら被写体を選びました。
コップ座を撮りたいという受講生はいなかったけれど、そうだった場合オーストラリアまで行かないと。。。
これまで星について学び、撮影の練習をして、準備をしてきました
根気よく、「星座撮影」に取り組んできた受講生たち。うまく行ったり行かなかったり。大変奥の深い被写体です。これをきっかけに、天文に興味を持ってくださるのは嬉しいことです。
撮りたい星座を決め、頑張って「撮りたい星座」というものをカメラに収めてきてもらいました。
みんなの写真を見比べているところ。「プリントが難しい、画面で見た方が綺麗なのに。」
プリントの難しさを、みなさん感じているようです。
そうそう、星の写真ってプリント技術も必要だよね。でもそこはとりあえず置いといて、まずは撮ってきた写真を見てみましょう。
受講生が頑張って撮ってきた「撮りたい星座」課題発表☆
画像が暗いように感じますが、拡大してみるとちゃんと見えますよ。撮影に取り組んだ受講生の感想もぜひご覧ください。共感できるところあるのではないかな?と思います。
りゅう座 / Mamiko Maruyama
課題に取り組んでの感想
はじめは、いるか座にしようとしたけど先生に止められて、りゅう座を選びました。いるか座じゃなくてよかった、と後から思ったのは、自分で見つけられそうにないと思ったので、りゅう座でよかったです。北極星の周りにいる星なので、場所がわかりやすいからりゅう座を選びました。
意識したところは、「りゅう」なので、縦位置で構図を決め、イメージ通りに撮れました。でも、時間が刻々と変わっていき、りゅうがグルグルと動いていくので、思った構図にするための時間帯などに少々手こずりました。
講評
りゅう座の尻尾方にあるα星はトゥバーンといって、約5000年前までは北極星だったそうです。また、りゅう座は「しぶんぎ座」の一部でもありました。唯一「しぶんぎ座流星群」という言葉が今でも残っているのですが、りゅう座イオタが放射点となります。
りゅう座は一番明るくても2等星で他は3等星で構成されている星座です。その為、りゅう座の形や場所が分かっていても、北方面が暗いところでないと星座は見つけにくいですね。遠征され、しっかりとりゅう座を納める事ができましたね。トリミングをしっかりすれば、もっと構図が引き立つと思うのですが今回は右下の「流星」らしきものが写り込んでいるので、この状態で持ってこられたのではないかな、と思います。頑張りましたね。課題としては十分です。
もしも今後作品として星座を視野に入れようと思うのであれば、レンズをたくさんお持ちなので、りゅう座がおさまる焦点距離を探しましょう。また、三脚のパンハンドルとバリアングルモニターを上手に使いこなしてもう少しシビアな構図で撮影してみてください。講座の中でやった、星座の境界を意識しても良さそうですね。
さそり座 / Kenji Torigoe
課題に取り組んでの感想
実は、納得のいかない状態で不満です。が、とりあえず提出をします。
さそり座を選んだのは、いつも天の川を撮影していて、やはり目立つ星座というか馴染みのある星座だったのでさそり座を選びました。先生がおっしゃるように、「さそり座の一番低いところ」(さそり座ゼータ星とNGC 6231付近)がギリギリでしたが、なんとかおさまりました。
講評
さそり座は、派手というか賑やかな星座で、天の川と競うように輝き肉眼でわかるほどの散開星団が輝きます。アンタレスのオレンジ色は、名の通り「アンチ・アーレス」(火星に敵対するもの)という意味でつけられ、赤く輝いていたのだろうなと思います。
いつも、天の川の写真などを持ってこられるので、撮影の心配はしていませんでした。ですが、天気、場所(石川県内は南側に山があるため、さそり座全体が見られる場所が少いように感じています。)日没も遅いため、春に比べると撮影時間が短くなってしまうなどの心配がありました。
天の川は控えめに、さそりが目立っていい感じです。新しいレンズを手に入れ、画面いっぱいに見事に収める事が出来ていますね。まさにさそりを捕らえた!と言った印象の写真になっています。オリオンからは、動物から剥いだ毛皮に血で文字を綴った感謝状がそのうち届くかもしれません。(笑)
はくちょう座 / Makiko Otera
課題に取り組んでの感想
前回報告用に持っていった写真は、先生に褒められたので、この路線で少し構図を意識して撮りに行ってみたら、星がたくさん見えすぎて、何がなんの星座だったのか探すのに苦労してしまいました。それが、なぜなのかな?と思って、同じようにならなかったと不思議でした。
お借りしている双眼鏡で、はくちょう座の星をみて、「オレンジっぽいなー、キレイだなー」と眺めながら楽しく撮影する事ができました。
講評
前回は、際立ったはくちょう座が写されていて、あれはあれでよかったですね。さて、「今回は星がたくさん見えすぎて。」というのは、ほとんど新月に近い状態だったので星がたくさん見えたのでしょう。前回は、等級の低い恒星(暗い星)が、月の光によって目立たなくなり、月の明かりに負けない明るい恒星(北十字を構成するデネヴは1等級、アルビレオ、δは2等級、γ、ε、ζは3等級)だけが際立っていたのだと思われます。はくちょう座は、比較的明るい恒星が多いため、街中からでも「ノーザンクロス」が確認できます。私たちの講座が行われているイオンの駐車場でも、街頭の光が目に入らないように手で覆えば、たちまちその姿が認識できます。
すごいなと思ったのは、前回指摘したことを修正し、感覚的な真ん中ではなく、星座境界を意識した構図になっている事です。はくちょうの頭を際の方へ寄せて、はばたいている羽全体が入るように境界を意識した構図は、星をやっている人に伝わるでしょう。星座の見え方の違いや、感じたことをたくさんお話ししてくださったこと大変嬉しく思います。リクエストの内容と出された課題を、見事やってのけましたね。今後も、頑張ってください。
次回は、8月22日(木)ペルセウス座流星群の撮影に挑戦!
流星群を見る事ができないこともあると思いますので、無理はなさらなくて大丈夫です。撮影がうまく行かないことも想定して課題を出しておりますので、心配せず、うまく行かなかった場合は手ぶらで教室へ来てください。
それでは!!
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