フォトグラファーがFOVEONを7年使ってわかったこと

みなさんこんにちは、フォトグラファーゆすらです。

わたし、FOVEONが好きで2013年から使用しています。

私が個人的に体験して、個人的に感じてわかったことを書きます。

DP2 Merill, dp2 Quattro, dp0 Quattro

この3台が所有機種です。

この機種、どれもビジュアルが最高にかっこいいよ!黒いし、フードもそれぞれ違ってね。じゃ、中身はどうか。。。

弱点がFOVEONの良いところ

このカメラというか、FOVEONのセンサーと言っていい。このセンサーの弱点は「被写体の正確な色が出ないこと」だ。そこが、まるでフィルムで撮影したような不思議な色合いと質感でユーザーは徐々に病みつきになってしまう危険なカメラだ。

10万円を超える単焦点のコンパクトデジタルカメラとは言え、有効画素数の高さは魅力的。解像度が抜群にすごい。

DP2 Merillで初めて撮影した時、オートフォーカスが遅すぎて。。。「んーぐぐっ、んーぐぐっ、ぐぐぐっ」とか音も大きいし、ピント合ってないし。w とても手のかかる子でした。モニターでは「なにこれ、2000年に発売されたコンデジ以下、ガラケー以下」とか思うほど酷かったが、PCでデータを見た時は目を疑ったね。すんごい描写力。。。

まあ、そんなことがあったから3台も買っちゃったんだけどね。。。

※jpeg前提で書いています。

実際にdp2 Quattroで撮影した画像をご覧ください(全てjpg)

晴れていた時に撮影

普通に撮れています。なんとなく、独特な感じはあるけど。それなりに被写体に近い色です。

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/800 カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光
絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/800 カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光

逆光になるとピントが合わない、そして暗くなる

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/400 カラーモードSTD +1.3EV 中央部重点測光

逆光ではオートフォーカスで、ピントを合わせたいところになかなか合いません。3回目でやっと合う感じ。根気よく撮影してください。

※最終的にピントは合います。でも、何度かトライしないと厳しいということです。それってつまり、緊急を要する撮影では、シャッターチャンスを逃すことを意味している。と、個人的に思います。そういう場合、メーカーには申し訳ないけど個体差がないのだとしたら、仕事では使い物にならんね。オートフォーカスがものすごく速いカメラが他社であるからね。

晴れていて、日陰のところでは

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/500 カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光
絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/400 カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光

綺麗だよね。でも、なんとなく、イエローが強調されている感じがする。雰囲気重視。こんな写りが個人的に好きです。

曇天、雨が降る直前の薄暗い鉛色の空の状態

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO100 f/2.8 1/800 カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光

1枚目の写真と全く同じ設定になった。この辺から、フィルム写真みたいになった。被写体は枯れた芝生。

一部だけカラーのモノクロみたいになった

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO400 f/2.8 1/60 カラーモードSTD +1.3EV 中央部重点測光

これ、フォトショップで加工したわけじゃないんだけど。www

本当に、この一部だけ色が変わっていたんですよね。これフルカラーです。

ISO400でノイズ

絞り優先Aモード ISOオート(上限800) ISO400 f/2.8 1/60 カラーモードSTD +1.3EV 中央部重点測光

露出補正したからって?もしかして1/60秒だったから?カメラが冷えていたから?原因は様々なので特定はできませんよ。

ただ、デジタルカメラの基本的な考え方で行くとISOは下げようってのは基本だよね。

ISOは100か上げても200くらいだと綺麗だよっていう話ですわ。

このカメラに関しては、ISO100を基準に撮影しましょうねってこと。

黄色が得意なのかなあ。キャノンの赤も、すっごい癖あるように感じるけど。この機種だと黄色に癖があるというか。そう思いませんか?

長時間露光もダメダメなカメラ

立山の雷鳥沢キャンプ場へ行った時に、テントと星空を撮影したものです。

マニュアル撮影 ISO400 f/4 25sec カラーモードSTD 0EV 中央部重点測光

ノイズと星の写真ですね。これは、けっこうがっかりした。

星がゴミのように見える。。。本当に残念。

いくらバスで標高2450mまでスイスイ行ける立山だからって、こんな仕上がりじゃあ楽しい思い出も辛い出も台無しですね。

下は、実際に立山の雷鳥沢キャンプ場で撮影した作例がありますので、星屋さんはぜひご覧ください。

ユーザーを選ぶカメラ

使いこなすには、こういう特徴や癖など全てを受け入れないとカメラ壊れた?と思う人がいるかも。

私が書いている内容や掲載している画像は全てjpegです。なぜかって?初心者などのjpegユーザー向けに記事を書いているからです。RAWをいじれる人は読まなくて良いと思います。あくまでjpgで撮って出しにこだわっています。

だって、ソフトやPCを使わずに撮ってすぐプリントしている人は世の中にたくさんいるんですよ。そういうユーザーの役に立てば良いと思っているから。

とりあえず、コツをまとめます。

SIGMA dpシリーズの使い方のコツ

苦手な機能

・逆光が苦手で、とくにAFの失敗が多いですね。根気よく合わせるかマニュアルフォーカスにしましょう。(中央部重点測光にしても、AFが合いにくいです。)

ちなみに、メリルのオートフォーカスはものすんごい遅かったです。それに比べたらクワトロのオートフォーカスは倍以上早く合うようになりました。

ノイズ軽減の目的

・晴れた日、または薄曇り、または晴れそうな予感の日、野外で撮影しましょう。

・ISO100が基本、またはISO200で粘りましょう。でも基本はISO100ですよ。三脚を使うと良いかもしれません。

・長時間露光は苦手なので、、、晴天で撮影しましょう。

独特な色の再現性を活かすために

・晴れた日、または薄曇り、野外で撮影しましょう。

・ISOは100にしましょう。

・気温は0度から40度くらいまでで、フィルムカメラのように管理しましょう。

・0度くらいで冷えてしまい、撮影した画像に色分解が見られたら、SDカードを抜いて「カードなしレリーズ」を許可にして連写して電池の電圧をあげましょう。でも、改善するかはやって見なければわかりません。

メーカーから言われたこと

・純正の電池以外を使用しないでください。電池残量が少ない時に本来の力を発揮できないことがあります。

・過酷な環境にカメラを持っていかないでください。(例えば、マイナス5度の野外に持っていかないでください。)

・ISO感度は100で使用してください。(ISO感度を800などに上げないでください。)

・飛行機に乗るときのX線検査で、カメラを通してもなんら問題はない。

オススメ被写体

深く考えず、なんでも撮ってみたら良いと思います。ただ、個人的なオススメというのはあります。

このシリーズは、砂とか、芝生とか、畳の目とか細かくて密集したものの描写力はとても高いです。ごちゃごちゃしたものの解像度がすごいんです。石川県の東茶屋街などの紅殻格子や、神社などの年季の入った建築物などの描写も渋くていい感じです。接写もそこそこです。

ポートレートだと、紫外線をたくさん浴びていい感じにシワができている人とか、むっちゃくちゃきめの細かい肌の人などを撮るとすごい描写をします。

豪華絢爛な着物なども、絹の繊維までを見通したような再現性はすごいと思います。

オススメ以外にも、普通にスナップを撮って見て。男の子なんかは、雰囲気よくかっこよく撮れるかも。差をつけたいアーティストタイプ向けなカメラですね。

SONYエクスペリアZ1 と SIGMA dp2Quattro比較画像

SONY XperiaZ1
SIGMA dp2 Quattro

見比べてみてどうですか?サイズ比や構図は目を瞑ってください。左のJKたちが自撮りしているのが可愛い!

そこじゃなくて、色を見てね。右側の川、石川県の浅野川です。dp2は川の色のブルーが特徴的。FOVEON BLUEなんて言葉を聞いたことがある。エクスペリアの方はどう?彩度が高めかな。

エクスペリアの画像は一切触らずdp2の画像をエクスペリア寄りにホワイトバランス変えてみた

近づけただけで、印象は変わるが、何かしらのイエローの存在感があるな。というわけで、ホワイトバランスをいじったところでFOVEONの主張は消えないようだ。これが、カメラの持つjpgの個性だと思う。

主計町の風景

だいぶ、見慣れてきました? もうどっちがFOVEONの写真だ!って判断できるようになってきたんじゃないですか?

構図に差がありますけど、桜の樹皮の表現というか描写力に注目してください。そして、やはり黄色が強く出ています。blueの反対色がyellowなので、青を強調すると同時に黄色も強調されるということなのだろうか。

FOVEONに限らず色は難しい

カメラモニターとPCモニターでは全く違う。それを知っている上でモニターを見るべきですね。カメラモニターで、ギャーギャー言っても無意味。とはいえ、一般的な人はモニターで写真を見ているのでモニターは大事だよねえ。まあ、色っていうのは難しいというのはわかるけれど、FOVEONの色があからさまに被写体と異なっているというのは読者の方に伝わったと思う。

オススメできない被写体

星景写真はお勧めできない。長時間露光に耐えられない。(レンズが交換できないので天体写真や拡大撮影はこれらの機種で撮影したことはありません。)

あと、厳冬期の北海道の雪原。これは、気温が問題です。マイナス8度だと、写真の色がイタリアの国旗みたいに、緑と赤に別れました。真っ白い雪の写真が、二色に分裂したのです。途中から、オシャレに写真を加工するアプリで加工したような写真がたくさん保存されていてショックでした。

北海道の広い雪原を、dp0で撮影したらどうなるかしら!と胸に期待を膨らませて撮影したときのことでしたので大変ショックを受けましたが、メーカーによれば、「それは私が過酷な環境にカメラを持っていったせいだ」といわれたので。寒いところではまともに使えるカメラじゃないということですね。

私のように、ディストーション0で北海道の雪原を撮影したいと考えている人がいたら、やめたほうがいいですよ。

でもやっぱりFOVEONが好き

普通に綺麗な写真を追求していると、たまに冒険したくなるんです。変な色とか、デジカメなのにブレとかピンボケ以外の失敗を感じられるデジタルカメラはそうそうないぞ。と。

刺激が欲しい人にはオススメです。

深く考える必要はなく、被写体と色の違う写真が撮れるカメラってことと、ちょっとデリケートなカメラってことだね。

買おうと思っている方、迷っている方に背中を押すことができたでしょうか?

使っているけど、いまいちよくわからないという方のお役に立てたでしょうか?

デジタルカメラにも、フィルムカメラのようにちゃんと個性があります。それをはっきりと世の中にわかりやすく教えてくれたのはFOVEONの存在だと思います。値段や中身や操作性が改善されたFOVEONが今後出るのか出ないのか、個人的に見届けて行きたいと思っています。

RAWが前提のカメラ

このカメラ、RAWが前提です。それは、ユーザー達が何年も言い続けてきたことです。

RAWだとしても基本的なことISO100というのも前提です。RAWでSIGMAの現像ソフトで現像するとjpgとは全く違って、FOVEON本来の力を発揮できるはずです。でも、RAWでも長時間露光は論外な写りですから。ノイズもバリバリでますから。星屋には用のないカメラですね。

これは、RAWが前提とされるカメラを、jpgで使う場合は、このような画像になるよ。というjpg前提ユーザーさんに書いています。

初心者の人でも、カメラ大好き変態さんに教えてもらって、思わず買ってしまった人がいると思います。

このjpgの仕上がりを楽しみたい方にはオススメです。この仕上がりが好きだ!気に入った!という方は、中古カメラをGET!ですね。

わたしは、このjpegの仕上がりも全部含めてFOVEONを気に入っています。なんだかんだいって、気に入っています。

面白いからです。。。

他の人と差をつけたい方、色あせたような写真を撮りたい方、フィルムカメラを今更やりたくないけれどフィルムを感じたい方には最高に良いカメラと言えるでしょう。すでに色あせたような写真が撮れるんだから。。。

では!

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