HRO【流星電波観測】とメテオスキャッター LCR(特定小電力コミュニティ無線)による通信

#PEMS_SLPR14x

「CQ CQ こちらは、ジュリエット、フォックストロット、ナイン、ケベック、ヤンキー、ヴィクター、JF9QYVです」

移動運用でCQを出しています。

みなさんこんにちは〜。こちらはJF9QYV常置場所からです。(写真は移動運用です。)

さて、今日は「メテオスキャッター」について紹介したいと思います。

JF9QYVは2018年に4アマの資格をとった際に、流星電波観測HROを始めます。免許取得のきっかけは、登山ガイドやドローンに必要だったからでした。

2021年9月から、普通に無線の遊びも始めまして最近は「CQ CQ」って、頑張って波を出してます。

9月にね、泣きそうになるような失敗もしましたが、ラグチューしてくださった相手局がほとんど親切な方達でして、励まされてここまで頑張って来れました。

(まだ初めて2ヶ月くらいだけど、、、?)

まあ、そんな中で

「JF9QYVは流星電波観測をやっていらっしゃいますよね?自分は、メテオスキャッターで通信をしたい。」

と、お知り合いになった無線家JF9RXR局が声をかけてくれました。

今日は、そのメテオスキャッターについての話を書こうと思います。

オリオン座流星群 いよいよ今夜がピーク

2021年10月21日の夜から朝まで。

フリーライセンスには4つの種類があります

特定小電力トランシーバー(特小)422MHz・UHF帯
CB無線(市民ラジオ) 27MHz・HF帯
デジタル簡易無線(DCR) 351MHz・UHF帯
デジタル小電力コミュニティ無線(LCR)  142/146MHz・VHF帯

周波数「Hz」ヘルツ について電波は送信アンテナを中心として、プラスとマイナスの電気を繰り返しながら波のように広がっていく性質があります。この波が1秒間に何回あるかを示したもので、単位として「Hz」を用います。
なぜLCRを使うのかというとVHF帯(30MHz~300MHz)と呼ばれる周波数が反射しやすいからです。

フリーライセンス無線の中でVHF帯の周波数を使用するのがデジタル小電力コミュニティ無線、つまりLCRとなります。

(この部分の文章を書いた人:JF9RXR)

青組さんはこちら

DJ-PV1D アルインコALINCO

JF9RXR氏の愛用するLCR

赤組さんはこちら

IC-DRC1 アイコムICOM

Amazon.co.jp

IC-DRC1MKII アイコムICOM

アイコム(ICOM) デジタル小電力コミュニティ無線 IC-DRC1MK2 黒
特長 ・免許や資格、通話料が一切不要、どなたでも気軽に使えます。 ・一度の操作で多人数に一斉に連絡できます。 ・中継設備なしで無線機同士で話せるため、災害時などいざという時の素早い情報共有にも適しています。 ・GPSを搭載、通話相手がどの方向にどのくらい離れているかを表示することが可能です。 ・FMラジオも聞けます。 ...

LCR(特定小電力コミュニティ無線)による流星群散乱波通信とは

なんだか、難しい内容のような印象ですけど。まあ、具体的に何かというと、

無線機にコールサインが設定してあって、

「PTTボタンを押し空に向かって電波を送信する」→「火球レベルの流星が流れる」(不規則)→「0.5wの微弱電波が反射する」→「反射した電波が遠くまで飛ぶ」→「誰かの無線機に受信される」→「デジタルなので受信が成功した場合、相手が使用している無線機の識別番号であるIDが表示される」

といった流れですね。

つまり、「聞こえますかー」とか、「PTTボタンを押しながら喋る」ということは一切せず、PTTボタンを押して、誰かが受信したら成功というone wayの通信です。

まずは相手が必要

one wayですが、無線機を持って送信と、それを無線機で受信してくれる人が必要です。そのため、日本中で無線機を持って送信と受信を試みるわけです。

0.5wの無線機(免許、申請、資格不要)で、通信をしようと試みている人たちがいるらしい。「流星バースト通信」なんていう言葉がまさに「メテオスキャッター」のことで、実際にその取り組みをしているJF9RXR氏にお話を伺ってみました。

アマチュア無線家 JF9RXR × 流星電波観測家 JF9QYV 対談風

(素人の趣味です、書いていることも専門的な内容ではありません。単なる雑談としてご一読いただけたらと思います。)

無線の魅力に取り憑かれた男・JF9RXR

JF9RXR「僕にとってのLCR(特定小電力コミュニティ無線、以下LCR)っていうのは、いくつかやっている趣味のひとつである無線です。アマチュア無線と、ライセンスフリー無線という免許の必要がないものを楽しんでいます。目に見えない電波を遠くの誰かに届ける。そのほとんどが、お会いしたことのない方々。
現代では、高速、高品質、しかも簡単にコミュニケーションを図ることが出来ます。なので、わざわざ無線を使わなくてもいいのでは?と思われるかも知れませんね。でも、このアナログな手段で声を届け合うところに面白さがあると思っています。」

JF9QYV「自分は、流星電波観測という受信だけでしか無線と関わりがなかったので、正直無線やっている人達が、一体全体何が楽しくってやっているのか。。。ハタから見ているとさっぱりわからなかったんです。でも、2021年の9月からアマチュア無線で「CQ」を出してラグチューを始めてから、JF9RXR局の言っていることに共感できます。特に面白いなと思ったのは、通信がone wayであること。相手が話している間は、しっかり聞いて、自分はどう返答するかということと、その返答に上乗せした話題を付け加えるのかどうか、それとも新たな話題を生み出すのかどうか。会話の内容を戦略的に組み立てていかないと相手局に失礼になるかな?なんて思いながらラグチューをするようになりました。」

JF9RXR「そうそう、相手とのやり取りには実際頭を使う部分はあると思う。でもそんなに気を張り付めてやる必要はない。もっとリラックスして気軽に話せばいいと思うよ。とにかく、無線は電波が相手に届かないことには始まらない。この電波というものは色々な伝搬(電波が伝わること)の仕方があるんです。見通し範囲なら直接波。電離層を使った反射波など、他にもありますね。」

JF9QYV「うんうん。自分は、初心者なので直接波しかやってません。」

JF9RXR「これからHFもやるんやろ?7メガで待っとるから」

メテオスキャッターとの出会い

JF9RXR「伝搬について調べていたら、流星群に反射するといったような記事をインターネットで読んだことをきっかけに、興味を持ちました。反射波というものの中の一つにメテオスキャッター(流星散乱)というものがあることを知ったんです。流星が大気圏に突入して数秒間、スポラディックE層のように電波を反射して長距離通信が可能だと」

JF9QYV「流星電波観測の観点からすると、スポラディックE層は実は嬉しくありません。ですが、自然に起きる現象なので受け入れようという気持ちがあります。笑」←まだ無線家じゃなかったからね

JF9RXR「そうなんや。。。笑」

JF9QYV「メテオスキャッターは、いつ頃から始めようと思ったんですか?」

JF9RXR「2年ほど前かな。144MHzのVHF帯の周波数が反射するらしいから、流星群が発生する時にはLCR(特定小電力コミュニティ無線)を使い、0.5Wで送信を続けました。」

JF9QYV「えーっと、無線の知識があまりない自分でも0.5wしかないんだ?って思ってしまいます。微力な電波をそもそもどうやって流星までの高さに到達させるのか。届くの?と、疑問。そんなことが可能なんだろうか。微弱すぎるし、周りに何か邪魔なものがあったら、阻害されて届かない気がします。天文で言うと、電波は光と一緒で光路がどこかにぶつかって散乱し、行ったり来たりして減光していく。見えない望遠鏡でDSOを見るようなものです。つまり電波もそうやって微弱になっていくのでは、と勝手にそんなイメージを持っています。」

(※DSO・・・ディープスカイオブジェクト)

JF9RXR「確かに、微力な電波だと言えるし、確率は低いかも知れませんが、実例もあります。その分成功した時の喜びは大きいだろうなと。」

JF9QYV「もしも、繋がったら本当に凄いことだなと思います。それがどんなに簡単じゃないことで、どんなに奇跡に近い確率だったとしてもいつか繋がる。という情熱がなければやれないことですよね。」

JF9RXR「そうそう、でも夢があるやろ?出来もしそうにないことをひたすらやるっていう部分は地味かもしれんけど、やらないと繋がらない。宝くじだって、買わないと当たらない。だから俺はやろう!って2年も続けてるんよ。」

JF9QYV「無謀とは言いませんが、壮大な夢です。地道なことをしている内容を聞いて、数年前の自分を思い出しました。流星電波観測も実は地味です。受信しかしません。しかも相手は流星です。いつやってくるのかわからない。でも、寝ている間にHROFFTというソフトが流星を記録してくれます。最初の1年半くらいは何をしているのかわかりませんでした。全然うまく行ってなかったし、流星の受信もろくにできてなかったんです。マイナーだから誰かに相談したくてもできない。。。自己解決ができず、もどかしくて毎日ふて寝してましたね。」

JF9RXR「笑  僕らが目指すメテオスキャッターも確かに似ている。だから、流星電波観測をやっていると聞いて、メテオスキャッターを成功させる方法はないかな?と相談してみたんだよね。」

流星電波観測を少し紹介

JF9QYV「はい、そうでしたね。ご相談ありがとうございます。興味を持っていただけたこと、すごく嬉しいです。私は専門家とか研究員ではなく、趣味でやっているだけの人間なんですけど流星群というのは、放射点があって、その放射点が出ている間中は群流星が流れることになっていますから、夜22時ごろから朝方9時ごろまでオリオン座流星群が流れるということになります。

ちょっとこの画像を見てください。」

Lacofilms流星電波観測所Liveより 2021年10月20日に観測されたロングエコーの画像

JF9QYV「流星群の活動期から極大期に近づいてくると、30秒から1分ほどのロングエコーを観測できることがあります。その時にPTTを押せば、誰かが受信してくれるんじゃないかということは想像できます。そう考えると、0.5wでも流星に当れさえすれば1000kmを超えるというのはあり得るなと容易に想像できます。」

(※ただ、流星電波観測は眼視と違いどこからどこへ流星が流れたかという方向の特定が難しいため、必ずしもこれが群流星であるということを言い切ることはできない。たくさんの人が流星観察した報告や流星電波観測による報告を統計して最終的にデータとなる。この段階では、必ずしもオリオン座流星群であるとは言い切れないということです。しかし、オリオン座流星群の可能性があるということも同時に否定できません。今回は、メテオスキャッターにスポットを当てているため、メテオスキャッターは流星群だろうが散在流星だろうがロングエコーがあれば飛ぶ。そこが、メテオスキャッターと流星電波観測の目的の違いです。)

JF9RXR「そうそう、だから寝ている時間帯に流星群が流れてもいいように、送信タイマーなるものも導入しました。これだと送信する間隔と送信時間も設定できるので便利です。」

※送信タイマーは1minから8minの間PTT発信する間隔とPTTを秒数を時間とを決められる。JF9RXR氏は1分毎に6秒間発信する設定。

JF9QYV「タイマー便利ですね。カメラでいえば微速度撮影を自動でさせるということと同じですね。露出時間はこっちで指定してっていう」

JF9RXR「そうそう。きっとそんな感じやろうね。」

流星電波観測の視点から、成功を願う

JF9QYV「自分は、ロングエコーを拾った画像を見るだけで飛び上がるほど嬉しいんです。それこそ、ハタから見たら、何がどう嬉しくてそんなに喜んでいるのか理解できないと言うことなんだろうと思います」

JF9RXR「そんなことないよ、俺は、俺はなんとなくわかる。流星電波観測が好きなんだなって事はね。」

JF9QYV「そ、そ、そうですか。ありがとうございます。リアルタイムで流星電波観測を行えば「ロングエコーだ!と5秒ほどで判断できたとしたら残りの数十秒を死に物狂いでPTTできたらいいんですけどね。で、役に立つかはわかりませんが、流星電波観測や流星の眼視観測をする立場からすると、オリチャレ21(オリオン座流星群にLCRで通信を試みるイベント)のイベント期間が短いように思います。」

JF9RXR「それを教えてくれたから、僕は数日前からこのタイマー導入をしてずっとやり続けているよ。バッテリーや機材が熱くなっていないかどうかも、まめに管理している。」

JF9QYV「それは、さすがッス。さて、実はこの時期オリオン座流星群以外にも他に活動期に入っている流星群が2つあります。おうし座南流星群とおうし座北流星群です。これらの流星群のピークはオリオン座とは、ずれているので期待はできません。しかし、活動期ではあるので何かしらある可能性も否定できないのです。

去年、1300キロを超える通信に成功したと言われているペルセウス座流星群のピーク時のZHRが100だとします。オリオン座流星群の場合は、ピークでZHRは20ほど。到底叶わない。5分の一に減るから当然確率も5分の1になります。」

(※ZHR・・・ざっくり説明すると、1時間あたりに観測できる流星の数のこと)

JF9RXR「そっか、じゃあ確率を上げるにはどうしたらいいかな。」

JF9QYV「無線機とタイマーを5台用意してください。そして、PTTの押す時間を全部ずらして確率を5倍にすればいいんです。それに、受信してくれるたくさんの仲間も必要なので、今の5倍増やしてください。」

JF9RXR「そういうことやんな。わかってたけど、一応聞いてみた。笑」

JF9QYV「果てしない感じがします。でも、できたらすごいです。面白いです。」

JF9RXR「人ごとみたいに言うな!笑」

JF9QYV「自分も、やってみたいなって思います。興味もあります。ここで面白いと思ったのは、流星電波観測っていうのは流星の受信をするだけなんですけど、オリチャレ21のようなLCRの実験って、必ず受信してくれる相手が必要。しかも、その時流星が流れていてくれないといけない。そんなタイミングが、奇跡的すぎる。だけど、面白い。」

JF9RXR「昨年は北海道室蘭市、長崎県とで成功しました。室蘭市の方は、山に登って通信を成功されています。」

JF9QYV「成功させたことがすごい、そして、相手局が受信したことも。JF9RXR局も、頑張ってください。仲間を増やすことで、みんなで実績を作っていったら熱い!LCRアツい!ペットボトルロケット高く飛ばそーって。子どもに夢を与えるジャンルの一つになってほしい。自分はそう思って、応援してます。」

標高2501米から波を出す男・JF9RXR

JF9RXR「どれくらいの人たちがこの運用をしているかはわかりませんが、1人にでも届かないかな。そんな想いで今回のオリオン座流星群も運用を楽しみたいと思います。」

対談風について・・・

JF9RXR「ところで、対談風についてやけど」

JF9QYV「はい?」

JF9RXR「まだアイボール もしとらんよね?」

JF9QYV「してませんねぇ。JARL会員になったらすぐアイボールできますよ♪

JARL富山 クロスランドおやべEB会

この前もクロスランド小矢部でたくさんの局にお会いすることができましたよ。1stQSOをする前に、先にアイボールしちゃいました。お楽しみの抽選会とか無線機とか第一電波工業のダイヤモンドアンテナとかコメットとかYAESUとかICOMとかの非売品グッズとか結構当たってる人がいました。

八重洲無線 FT5Dおしゃれなだけじゃない、カッコいいし最新機種。欲しい!JF9QYV欲しい!

参加費無料で、あんないいもの当たったら結構良いと思いますけどね。入らないんですか?JARL」

JF9RXR「( ̄^ ̄)ゞ」

※チャットによるやりとりを対談風にまとめたものです。

LCR(特定小電力コミュニティ無線)のチャレンジシリーズ

流星群がある度に、そのチャレンジが定期的に行われているようです。

これを成功させるには、強い速度を持っている流星群が狙い目です。理由は、勢いがあるものは強いエネルギーを持っているから。11月のしし座流星群は、速度が速い。でも、数は少ないなあ。速度で言えば、オリオン座も負けてない。ワンチャンあるかも。と、吹っかけることはどれだけでも言えるけど、「やるっきゃない」というチャレンジ内容です。データや統計にあぐらをかかず、ひたすら無心でやり続ける努力が必要なチャレンジだと思います。

繋がるまで何度でも、モチベーションが続く限り続けてほしい。

いつの日か、流星電波観測の移動運用を駆使してリアルタイムで指示を出す。「いまだ、みんなPTTを押し続けるのだーー!」という妄想をしている自分がここにいます。

今夜がピークですので、手動の方は、腱鞘炎などにならないように工夫をして、風邪をひかないように無理をせず、皆さんで頑張ってください。

自分は、流星群を眼視観測できたらするつもりです。

それでは、次回の更新(交信)までご機嫌よう!73/88/33 de JF9QYV

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