【天体観測】「道の駅開駅1周年」 大鹿村星空観望会

 みなさんこんにちは、ゆすらこちゃんです。

  今回は、8月に開催された新しい星空イベントの紹介です。

 星空イベントー観望会ーを村おこしとして成功させるためには、様々な努力が必要です。 そんな苦労や工夫したことなどを今回発起人である加藤さんに取材することができましたので記事にしたいと思います。

取材日 2019-11-01

大鹿村星空観望会が実施できるまで

大鹿村星空観望会の発起人 加藤夫妻 2019年原村星まつりにて

発起人 加藤哲夫氏のストーリー

 加藤さんは、2014年から長野県大鹿村へ移住しました。それまでは都会の名古屋市内に住んでいて、ご家族と一緒に十数年も大鹿村の隣町の中川村へキャンプ通いをしていたそうです。通うたびに、老後は中川村のようなのどかなところへ移住したいと気持ちが強まり奥様も大賛成で移住したそうです。

 移住したことで、星仲間とは疎遠になりましたが2019年GWに星仲間を大鹿村に招待したそうです。

星仲間がきっかけに

 加藤さんは、関西、中部を中心とした「気ままに星空観望仲間」の一員で、スターティングメンバーである5名が大鹿村を訪れ星空と温泉を堪能していかれたそうです。これを機に、夏にはもう少し人を集めて観望会をやろうと準備していたところ、たまたま道の駅「歌舞伎の里大鹿」が1周年の感謝祭を行うとのことで感謝祭とコラボする運びとなったとのことです。

大鹿村1周年感謝祭のポスター

https://kabukinosato.com/info/kaieki1syuunennkannsyasai/

大鹿村星空観望会のPR告知ページ

河川敷で川の音を聞きながら満天の星。この空間にいるだけでヒーリング効果がありそうですね。

道の駅歌舞伎の里大鹿HPより画像を引用 (※許可を得て掲載しています。)

 写真に写っている自作反射望遠鏡『オデンデッセイ33』と『高橋製作所 ASTRONOMER』は、いずれも加藤哲夫さんの所有物。『オデンデッセイ33』は、過去に観望会をした際加藤さんが調理担当になりおでんを作った思い出を「おでんでっせい」という関西風の言葉を望遠鏡に託してつけたそうです。鏡筒はODESSEYで、鏡筒を半分に切り持ち運びしやすくしたとのことです。

~満天の星空だけでは飽き足らない君たちに!~

中学生以下の君たちは保護者同伴で、高校生以上の君たちはお友達を誘って。大人の方々は気ままに。
1組1枚ずつ、先着20組に星座早見盤をプレゼントいたします。
PM6:30より星座早見盤を組み立て、使い方を説明いたします。空が暗くなったらいよいよ星座観望です!
持ち込まれる天体望遠鏡は50センチ反射望遠鏡、40センチ反射望遠鏡、28センチシュミットカセグレン鏡等
大口径天体望遠鏡で星空観望を堪能できます。
当日の見ものは、木星、土星、月、星雲、星団。とにかくでっかい望遠鏡で見てみよう!

https://kabukinosato.com/info/1thekievhsizorakannboukai/

村の方々に理解してもらうために

 観望会開催のための活動を始めるにあたり、まず道の駅の方々に理解をいただき、駐在さんには当日の会場パトロールなどの協力を仰ぎました。診療所先生には、道の駅西側河川敷での観望会開催をお伝えしました。大鹿小学校、中学校にて朝礼時間をいただいてPRをしました。その際、大鹿小学校の全児童50名ほどにアストロアーツの自作星座早見盤をプレゼントして参加を呼びかけました。

アストロアーツの自作星座早見盤

 自分でプリントをすると、プリンターで出力できますが、それだと切り取りの行程に時間がかかり大変です。加藤さんが子どもたちにプレゼントしたのは、有料のものでその場で切り取りできる親切な作りになっているタイプのものです。子どもたちにプレゼントするために買って準備したそうです。

https://www.astroarts.co.jp/hoshinavi/magazine/planisphere/all.pdf

 まずは地元の方々に理解してもらうために、おそらく同じことを何度も説明した事でしょう。奥様もこの企画を叶えるため、自ら道の駅の駅長さん、観光協会、役場へ交渉しに出向き色々なお手伝いをしてくださったそうです。加藤さんも奥様に大変な感謝をしていると聞きました。

ポスターは仲間の計らい

 加藤さんが交渉や準備をしている間に「気ままに星空観望仲間」のそらさんはポスターを作って、加藤さんを応援しました。加藤さんが頼んだわけではなく、仲間からのサプライズだったのです。

そらさんがデザインして完成したポスター

 ポスターはA4サイズ約300枚、大型ポスター10枚ほどをそらさんからプレゼントされた加藤さんは取材時にはそのことを本当に嬉しそうに話してくれました。

 印刷代金も無料じゃありません。何よりも応援を形にしてプレゼントしてくれたことが、とっても粋な計らいですよね。

 そらさんは、ポスターだけでなくタペストリーやステッカーなども作るのが得意です。素敵なデザインですよね。

PRの苦労

 ポスターの準備も整い、なんとか地元の方々の理解を得てイベントが実施できることになりました。しかし、加藤さんは少し悩みました。コンビニも信号もない田舎でどうやって集客したら良いのかと。基本は道の駅歌舞伎の里大鹿の感謝祭の一部のイベントですからまずは道の駅歌舞伎の里大鹿HPのNEWSなどでPRポスターをアップしていただきました。さらに隣の村、中川村役場の掲示板、農協スーパーチャオ掲示板にポスターを貼らせていただきました。

 地元新聞社には電話をしてポスター画像を送り取材希望をしたけれど、当日新聞記者が取材に来ることはなかったそうです。ほかにも、ポスター画像を送信してPRをお願いしたところ、一部の施設ではプリントアウトしてポスターを掲示していただけました。

 ただ、現在はSNSでの発信が簡単になりました。「気ままに星空観望仲間」のメンバーが情報を発信しPRしていました。わたしの知人も一生懸命PRしていたことを知っています。

原村星まつりでの機材紹介でPR

歌舞伎でPR

 大鹿村といえば全国的に有名な歌舞伎です。その力を借りてを白波五人男のセリフを参考に、原村星まつりで毎年恒例の「ちゃっきりさんの機材紹介」時トップバッターでこのイベントを宣伝しました。

著名人 茶木恵子氏も応援!

 原村にはなくてはならないちゃっきりさん。このイベントを応援してくれています。

原村では、ちゃっきりさんが自らポスター配布してくださいました。

大口径を扱うベテラン星屋たちのあつまり

 個人所有で50センチクラスの反射望遠鏡を車に乗せて星を見せてもらえるんです。これがどういうことなのかわかってますか?移動天文台と同じですよ。個人所有で天文台を持って来たのと同じようなことです。

 口径の大きい望遠鏡は、集光力があり小口径とは見え味も迫力も全く違います。私も「気ままに星空観望仲間」のメンバーの方にいつも見せてもらっています。「色まで見えるような気がするんだけど」と言うと「見えるよ、フィルターかけているから」と言われました。望遠鏡は、アイピースもなくちゃ見えませんからね。また、そのアイピースに対象を見やすくするためのフィルターやさまざまなパーツを用意して対象を導入して覗かせてくれるんです。

 こんなありがたいことがありますか!聞きなれた言葉でしょうが本当に凄いことです。

大鹿村での観望会の様子

大鹿村というのどかな場所での天体観測は最高でしょうね。私も参加したい。

まだ小さな観望会

ベテランの仲間たちとゲストサポーターで会を盛り上げてくれる

 小規模な観望会とはいえ、「気ままに星空観望仲間」の個々の会員さんが所有する機材は大口径反射望遠鏡、高級な屈折望遠鏡など。とうぜんベテランの人たちばかりです。また顔も広いため、会員ではないゲストサポーターとして参加してくれる知人や仲間たちが会を盛り上げに来てくれているようです。

 今はまだ小さな観望会ですが、これから参加者がたくさん増えることを願っています。わたしも応援しています。

Special thanks

 道の駅歌舞伎の里大鹿村、加藤哲夫さんと奥様、やおきさん、そらさん、気ままに星空観望仲間の皆さん、ちゃっきりさん

 ご協力ありがとうございます。

追記

取材日2019-11-03

当日の参加人数

気ままに星空観望仲間のみなさん18名

応援に来てくださった星仲間の皆さん3名

会場に来てくださった方達 約100名

安全面に関する事項

「観望地が夜間の河川敷という事ですが、安全面に関する配慮としては具体的にどのような事をされました?」という質問の中で、加藤さんはこのような返事をくださいました。

・物理的にできることは、車を川側に寄せてバリケードをつくり車より向こう(川)側に行けないようにしたこと。

・川へ降りられる入り口(川へアプローチできる場所が一箇所だけ)に、望遠鏡を置いて入り口を塞ぎ、絶対に川へ行かせないようにしたこと。

・道の駅の駅長さんや観光協会の方にお願いし、会場整理、誘導、来てくれた方には河川敷なので注意喚起の声かけをしていただいたこと。

・駐在さんに18:00ごろから21:00までの間、ずっと堤防道路に立ち、パトロールや見守りをしていただいたこと。

今後の安全対策について

 今後、観望会で参加人数が増える可能性があるため、もっと安全対策についての強化について考えているようです。

 具体的には、夜間でも見える注意喚起を促す掲示物をしたり、事故を未然に防げるように配置に工夫したりする。目に優しい蓄光ロープなどを利用して夜間でも安全に参加できるように今より手厚いサポートを考えているとのことです。

 安全第一とはよく言いますが、本当にその通りですね。ただ、実施運営する側にすべての責任を押し付けるのではなく、参加する方達も自分たちで注意する意識は持っていただきたいですけどね。どんな場合だったとしても、何か起きたらイベントは楽しくないものになってしまいます。

 これを読んでくださっている方で、安全対策「うちはこんなことしてまーす。」とか、「こんなふうに対策してくれたら、安心。」「こんなの配布または販売するといいかも。」といったご意見やアドバイスも常に募集しています。もしよかったら、教えてくださいね。

ゆすらこちゃんオススメ安全対策アイテム

蓄光ロープ

 もともと、テントのフライにテンションをかけるために使用していた「細引き」。山では夜間には電気がないためトイレに行く時友達が何回もヒモに足を引っ掛けて「おっとっと」みたいなことになった為、蓄光タイプの細引きに変えました。UVライトを当てるとより強く光って面白いです。じゃなくって、よく見えますよ。

 わたしは登山で使うので細めのもの(軽量化のため)を使用していましたが、観望会だともう少し太めのものが良いかも。「河川敷に行っちゃダメ!」というロープの代わりになるといいんだけど。

 1つ心配なのは人間って暗い時に明かりのある方へついつい来てしまう傾向があるので、このロープに興味津々で見にきてしまったら困るので、川へアプローチするための入り口から少し離して立ち入り禁止のロープをしましょう。蓄光ロープが招いた事故などがおきないようにお願いします。

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蓄光グッズとUVライト

UVライトを照射
UVライト照射後

 こんなに明るかったら、星を見る時邪魔になるじゃん!と思うかもしれませんがそこは工夫してください。

 たとえば、UVライトを使わずにスマホなど光が弱いライトを使うとか、蓄光シールを細く切るとか、ヤスリで削って蓄光のパフォーマンスを落とすとか。

 アイピースの先端に蓄光シールを貼ったのは、覗くときに目をぶつけてしまう人がたくさんいたからです。そして、「覗くところ、どこどこ?」って目が見える人は見えないことそのものに不安を抱えるので、ほんのり光る蓄光シールを細めに貼りました。これがあることで目をぶつける人はいなくなりました。こんな細いテープが多くの人の目を守ったのです。

 また、蓄光がまぶしいときはアイピース付近を手で覆うとか、光を遮断できるものをオペレーターが用意してあげればいいと思います。わたしは黒いうちわを使って隠したり、手で覆ったり黒いフェルトをのれんのように持ってあげたりしました。それで十分じゃないかなと思います。ただ、大口径だと脚立がいるかなという時にそんなことはできないと思いますが、まあ、これはあくまで例です。

望遠鏡に蓄光シール

観望会の様子です。写真の露出時間は10秒程度かな。後ろには南斗六星が見えます。

女の子がアルビレオをのぞいています。

女の子の顔の高さに蓄光シールが光っているのがわかりますか?

2014中宮ふるさと塾星空観察会の様子。

蓄光シールは優秀だな、と、思います。

 演劇を観に行ったときのことです。舞台が変わるシーンで照明が落ちたあと闇の中で、蓄光シールが光っていました。本当に真っ暗な中ですみやかに大道具を片付け、別の大道具を設置して舞台シーンを作り出さなければならないんですね。そのときの蓄光シールが印象的で、星見の時の参考にしました。

蓄光は永久じゃない

 蓄光は、UVライトを当ててもまたどんどん暗くなっていきます。そのため、定期的にUVライトを照射して行くことが必要です。観望会が3時間だとしたら、1時間おきにUVライトを照射する担当者を決めて照射するのがオススメです。

蓄光グッズ

フラッシュ撮影
フラッシュ後の撮影

暗いけれど、このくらいの暗さを求める人はスマホのライト程度の光量で良さそうです。

UVライト照射
UVライト照射後

光る星で人数把握

 この蓄光の星は、低コストなので星に穴を開けて、毛糸とかヒモを通してチープなネックレスを作って配ってはどうですか?道の駅の中で一人スタッフさんに待機してもらい、これを配るんです。

 番号を書いておくと何人参加してくれたかも把握できます。油性マジックで書くだけ。そして、星の部分にUVライトを10秒ほど当てて首にかけてもらいましょう。この時の注意点はUVライトを絶対に見つめないようにしてください。目をつぶってもらいましょうね。

 大鹿村の観望会では、駐在さんが見守っていてくれたりパトロールをしてくれたりしたと聞いたのでこの星が何かと目印になるかもしれません。観測するときは首の後ろに回して邪魔にならないようにできます。

安全を優先するか、暗さを追求するか

 子どもたちとか、マニアックではない方たちが観望に来るときは、対象も惑星とか見やすいものが多いはずです。だとしたら安全を優先したほうが良いと私は思います。

 観望会の後に自分たちだけのための観望の時間になったら、真っ暗にしたいですよね。でも蓄光シールをいちいちはがすわけにも行かないし。このような蓄光ゴムがありますよ。

 このゴムタイプは私は使ったことがないのですが、蓄光力に関してはとっても弱そうな予感がします。弱い光を求める人には良さそうですよね。

 より良い観望会になりますように!

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