【思いが伝わる!見せたくなる写真教室】第160回 課題発表 テーマ「紅葉」

2025-12-11 19:30-21:00 北國新聞文化センター | 写真教室 講師: 清水梅子ゆすらこ

みなさん、こんにちは。今日は2025年最後の講座です。この教室は、社会人の方が仕事帰りにレッスンを受けられるように夜間の講座を実施しています。

紅葉のテーマは先月からお伝えしてありました。私が写真テーマを出題するとき、受講生の皆さんにとって「このテーマなら難しくないだろう」とか、課題をこなすために「紅葉を見つけるという目標を携えてお出かけをする」そういうきっかけになるといいな、ということをイメージしています。

「近所にこんないいところあったんだ」「有名な場所だけど、紅葉の時期には行った事がないから行ってみよう」カメラを連れてお出かけしてもらいたいのです。

または、葉の色そのものに着目して撮影するなど、人それぞれ考え方や感じ方は異なります。その時感じたものを、写真でどう表現するかも考えていくと、人に伝わる写真になります。

受講生の課題発表の様子

『ぎんなんの里』©︎Mamiko Maruyama

『ぎんなんの里』©︎Mamiko Maruyama

「これは加賀市にある、ぎんなん畑です。20年前から植えて、やっと最近すごい銀杏の世界で黄色い世界で綺麗だったので写真に撮りました。11/22にいい天気で、黄色と、下の緑と空の青がすごい綺麗でした。すごく迫力がある感じに撮れたと思ったんですが、プリントしたらイマイチな感じでした。」

講評
『ぎんなんの里』©︎Mamiko Maruyama

天気に恵まれ、青と黄色のコントラストが効いていますね。

迫力が半減したというのは、気になります。こういう写真は2Lみたいな小さいサイズではなく、A3プリントなどをすると迫力が感じられると思います。撮影現場にいると、素敵な風景を自分の目で見ているので、その後撮った写真を見るとテンションがあがってるから「キャー、うまく撮れてる!!自分は天才!」と言う気分になることはよくある事です。それで脳が満足してしまっているので、後から写真を見ると、もっとうまく撮れていたのにと思うことも、撮影あるあるです。F8という数値が、この風景の迫力を出すための適正な数値なのかどうかを考えていく必要がありそうです。課題発表というのは観光名所紹介コーナーではありません。観光写真としては上手に撮れてはいるのかもしれませんが、この写真から何を伝えたかったのか?オリジナリティや意図が感じられません。「ぎんなんの里(郷)」は地名でしょうか。もう少し、タイトルについても考えられるようになると良いですね。

『ど根性 紅葉』©︎Kenji Torigoe

『ど根性 紅葉』©︎Kenji Torigoe

「実は、下の2枚を発表用に用意していたのですが、先日寒波があって山に雪があるだろうと、そこにまだ葉をつけた樹があるかなーと医王山スキー場付近へ行ってみたら、葉を残していた樹木があったので、この写真をメインで発表することにしました。紅葉というテーマなので青と白の間に赤を置くことでインパクトを出せたらと思いました。ただ白い雪をベタッと撮るのではなく手前の雪に樹木の影を入れて光のグラデーションを意識しました。そのために、白い雪が太陽の光を反射させて真っ白くなると困るので、F値は11くらいまで絞りました。」

 講評
『ど根性 紅葉』©︎Kenji Torigoe

タイトルが面白いですね。樹木には、いろんな戦略があります。紅葉後、完全に葉を落とす樹木もあれば、春まで茶色い葉をつけた状態のものもあります。葉を落とさない樹木で有名なのは柏です。風景写真は、気象条件が作り出してくれる光と影そのものです。今回のように、落葉や枯木へ向かっている途中の風景の中に一面真っ白くなった雪げしきを捉えるフットワークの軽さがこの作品を生み出しました。多分次の日には雪が全部溶けたはらっぱになっていた事でしょう。タイミングが大事だということを教えてくれる作品でした。鳥越さんの撮影データには、その表現のための意図した設定理由が常にあって、自分の考えを写真に落とし込める人なんだなあといつも感心します。サブカットに降格されてしまった写真は、薄暗いオレンジ色が見事で、フィルム映画時代のサスペンスのワンシーンを彷彿とさせるストーリーを感じました。

『仲良くヒラリ』©︎Makiko Otera

『仲良くヒラリ』©︎Makiko Otera

「グリーンパークへ紅葉を見に行ったときに、白い石の上にちょうど2枚の葉が落ちてきたので撮ってみました。したの2枚は、京都へ行った時に撮影したものなんですが、白い建築物と赤がすごく映えていたので撮ってみたものと、広角な風景も撮ってみたかったので、お寺から見える紅葉を撮ってみました」

『仲良くヒラリ』©︎Makiko Otera

紅葉を見にいくと、葉がヒラヒラと落ちてきたり、枝ごと落ちてきたり、そういうことってよくありますよね。まるで、私たちを撮ってとメッセージを残しているようですね。樹木に栄養を届ける役目を終えた直後の葉と葉のラストシーンを見届けて、2枚をクローズアップして撮った大寺さんの優しい心が伝わってきます。葉は、丸みがあって冬の光(太陽光度の低い様子)が、影を伸ばしている。陰影が効いている素敵な写真ですね☆

『オレンジ色は八百万やおよろず』©︎Furuyan

『オレンジ色は八百万やおよろず』©︎Furuyan

「兼六園に行って有名な琴柱灯籠で撮影してみました。3月から教室に通い初めて桜を撮ったときは、奥行き感とかそんなこと考えず、写真でどう表現していいのか全然わからなかったんですが、手前をぼかして、奥もぼかすといった感じのものを撮れるようになって気に入ったものは撮れました。成長も実感してきたところでした。だけどタイトルを考えた時に、タイトルが思いつかない。。。ただ、観光地に行ってきましたっていうそれだけの写真だなって思って、うまく撮れたけどその写真は作品と違うかな、と思いました。それで、いろいろ紅葉を探して回っていると、すごく狭くて暗いところに、一部だけひっそり紅葉しているところを見つけました。実際は、もっと汚らしい葉で、ガサガサしているというかもっと渋い感じだったんだけどプリントすると、ツルツル綺麗になっちゃって、ちょっと残念。オレンジ色が何色あるのか調べたら十万色もあるっていうんで、こういうタイトルにしました。

『オレンジ色は八百万やおよろず』©︎Furuyan
講評

今回に限らず、毎回、いろんなことを試行錯誤されて撮影に取り組まれています。技術的にも、思考的にも上達しているのはこちら側も感じているところです。新しいレンズも使い慣れてきて、殊更撮影が楽しくなってきたのではないでしょうか。写真上達に必要なのは、具体的に目指す形があること。表現したいイメージを持っていること。そして、その時感じた素直な心を写真に反映させること。そういう要素をシャッターを押したときに一緒に封入します。誰かのためじゃなくて、自分が好きなように撮ればいいんです。今回、最も重要なことを語ってくれたと思っているのは「上手く撮れたけど、タイトルがつけられない」という部分です。

ただ上手く撮れただけの写真や、ただ綺麗に撮れただけの写真って、悪いけど意味がないです。「だからどうしたの?」って。綺麗な写真は、そこらじゅうに転がっています。あなただけが出会ったであろう、いろんな色の汚い紅葉の葉を撮って、そのタイトルを考える。これが作品作りの醍醐味ですよね。素晴らしいことに気がついてくれてありがとうございます。写真プリントで、補正されてしまったようですが、葉に行き届く栄養で成長に差が出るのか、大きさ、色、形もバラバラ。被写体をよくみていないと、発見できないことだと思います。

写真プリントの際、キタムラでしたら補正なしにチェックをする箇所があります。他には、FUJIFILMのXステーションや、写真の文明堂さんでプリントするのも良いです。

『THE.特等席なり』©︎Kana Mizukami

『THE.特等席なり』©︎Kana Mizukami

「山中・山代温泉に行ってきました。ここだけスポットライトみたいに光が射して、ベンチの影がいい感じだなと思って撮ってみました。下の写真は、小さな池に葉がたくさん溜まっていたので、フィルムシミュレーションモードのvividで色を強調してみました」

講評
『THE.特等席なり』©︎Kana Mizukami

確かに、ここは特等席ですね!向こうの苔、真ん中の黄色ベンチの周りのオレンジが、綺麗に敷き詰められてるようです。このベンチに座って、風景を眺めたくなりました。あやとり橋という有名な観光地へ訪れて、てくてく歩いて見つけた自分だけの風景、こういう写真素敵だなと思います。光も良いし、スナップ感が、自分の感覚を表現しています。

楽しい鑑賞会

楽しい鑑賞会では、みなさんの写真を鑑賞するとともに、どうやって撮ったのかな?とか色々な質問が飛び交いました。

まだカメラを始めたばかりの受講生さんもいるので、今日はF値の違いについて写真を撮ってもらいました。皆さんに並んで座ってもらって、指を出してもらい、F値を変えて撮影をしてもらいます。

被写界深度の違いを、自分でわかれば、まずはこんな写りになるんだーというところを知ってもらいます。

皆さん、ご協力ありがとうございます。

被写界深度の学習には、レンズのF値の他にも、被写体と背景の関係があります。そこはまだ学習をしていないので、今後やっていきましょう。

今年も一年、ありがとうございます

さて、今年の講座は今日でおしまい、次回は2026年1月22日(木)になります。

次回は、2026年1月22日(木)展示パネル作り

写真展の準備をします。

展示のためのパネル作りをします。大きくプリントされる方は、折り曲げたりしないように、上手に持ち運ぶ必要があります。また、パネルに貼り付けた後、曲げて折れたりしないような対策が必要です。また、雪やみぞれ、雨などの悪天候の場合がありますので、絶対に濡らさないように、大きなゴミ袋などに入れましょう!

ご持参していただきたいもの

・プリントアウトした写真

・白い布手袋(タクシー運転手さんが履いているようなもの)←DAISOに売ってた

・両面テープ付きスチレンボード(発泡スチロール 5mm)

・カッターマット

・カッターナイフ

・長めの定規

2026年1月26日(木) 撮影課題 テーマ「私の雪だるま」

一応、展示準備の予備日としていますが、課題を出します。テーマは「私の雪だるま」です。ご自身で雪だるまを作って、写真を撮ってきてください。

※自分で雪だるまを作って、撮ってくるのが条件です。他人が作ったものや、他人に作らせたものを撮ってくるのはダメだよ〜

雪が降らなかったら、教えてください。すぐ撮れるような別の課題を出します。

では、良いお年を!

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