2025-05-22 19:30-21:00 北國新聞文化センター | 講師: 清水 梅子(ゆすらこ)

みなさんこんにちは。今日もロモインスタントカメラを使った課題発表です。
多重露光の楽しさと難しさ
多重露光を初めて撮影してみた時、その重なりはどうしたら綺麗になるのだろう?さまざまな疑問が浮かびます。

こちらの見本写真は、ロモインスタントではなく、写ルンですと同じレンズ付きフィルムカメラで多重露光をしました。写ルンですとの大きな違いは、フィルム再装填・巻き戻しなどが可能だということです。そのため、多重露光が可能なのです。
ちょっと、話を戻します。ロモインスタントは多重露光可能なインスタントカメラです。その為フィルム巻き戻しなんていう作業は不要(不可能)です。MXモードにして、好きな被写体を撮ってから、また違う被写体を撮る。これで多重露光の写真が撮れます。
見本写真は、最初に「観覧車」を撮影してから「植物」を撮影しました。ボタニカル柄の観覧車をイメージして撮影しています。
多重露光では、1枚のフィルムに好きなものを同時に焼き付けることができる楽しい技法なのです。もちろん、デジタルカメラには(機種によっては)多重露光モードというのがあってこんなふうに写真を重ねてくれます。
やっていることは同じで、焼き付けるものはフィルムかイメージセンサーかというだけです。
今回の課題「多重露光」は、受講生からのリクエストで自由に撮ってきてもらいました。
受講生の課題発表
Mamiko M. / 「窓の中と外」室内から窓 + 庭の黄色い花


ご自宅の部屋から「窓」を撮影して、外へ出て庭に咲いている「黄色い花」を撮影。黄色いお花の色がハッキリ出ています。撮影枚数3枚で、失敗なしだったそうです。ロモインスタントにすっかり慣れたようですね。
Kenji T. / 「ヒトガタノオモイ」 お人形(黄色フラッシュ)+ お人形(赤フラッシュ)+ 照明を当てた水

なにこれ、凄い世界観。instax miniでやるなんて、勿体ないです!(笑)フィルム写真でやって欲しいですね。ロモが好きな人ならすぐにわかると思いますが、テクニック満載。これまで、何万円とお金を注ぎ込まれてきたことでしょう。フラッシュやカラーフィルターを使う作品は、ロモらしい撮り方、マネしたくなるね!露光は3回。正確なデータがないと難しい撮影です。

Makiko O. / 「花と友情」 銅像 + お花

銅像、つまり、シルエットの暗い部分に鮮やかなお花を重ねるという方法ですね。個人的には、こういう多重露光がシンプルで一番好きなんですよね。もう少し色鮮やかさを狙いたい場合は、常に順光を意識してください。
そのため、逆光によるシルエットではなく、順光で暗い色のものを撮影するのです。簡単に言えば、銅像(最初から暗い色のもの)や、黒い車、D51(黒い車両)のようなもの。まあ、黒ければなんでも良いですね。逆光にすると、背景部分がすっかり飛んでしまってハイキーになってしまい、重ねたお花も薄めの色になります。
すごく上手に撮れていると思います。お花いっぱい、銅像、水車の写真も綺麗なピンク色に染まり、お部屋に飾っても良さそうですね。
ギターの上下反転、ネック部分がよく一本に重なりましたね。お見事です。これでもうあなたは立派なロモグラファーです☆

Shigehiko F. / ハートラちゃん正面 + ハートラちゃん後ろ姿

ハートラちゃんっていうのは、ハートランドの森に住む妖精です。5/8がお誕生日なんだとか。

Fさんの作品、ハートラちゃんのぬいぐるみ1つで、1枚に正面と後ろ姿を写すというやり方です。違和感なく上手に撮れています。まだ2回目なのに、すっかり腕を上げましたね。
次に、「ハートラ・ピカソ」です。ハートラちゃんの顔の向きや体の向きをバラバラにして1体に見えるように撮りたかったようです。それはまさにキュビズムなので写真の下に(キュビズム)という言葉を追加しました。(キュビズムは、ピカソだけじゃなくてジョルジュブラックなど他の画家も取り組んでいたため)
多重露光は、構想が大切だということを改めて考えさせられました。とても参考になります。

カメラを使い分けて楽しむこと
デジタルカメラは、今かなり進化しています。この重量で、このスペック、このサイズ、、、。フィルムカメラに熱を上げていた自分がまるで馬鹿みたい。って思いながらも、凄い時代になったと感心します。
自分は、カメラ全般好きです。どのカメラにも個性があるしそのメーカー独自の工夫や理念やこだわりを詰めつつ、他メーカーの良いところを搭載しているものもある。そうやって、切磋琢磨して生き延びているメーカーや吸収合併してなんとか生きているメーカー。色々だね。もうなくなっちゃったけど、このカメラにしかない機能があって、好きだったんだ。などなど、カメラは道具で消耗品なんだが、撮影するたびに思い出が刻まれていく。
綺麗に撮ることが当たり前の時代に、わざわざこんなお金かけてやることなのかねえ。と、思う人もいるかもしれないけれど、今回の受講生たちの発表された数々の写真を見て改めて実感したことは「ロモインスタントだから撮れる写真」というところに着目して撮影に取り組んだみなさんの考えが伝わってきたことです。

結局、写真というものはカメラとレンズがどんなに高性能・高品質になっても「何をどう撮るのか」「どうしたら伝えたいことを強調できるのか」「どう撮ったら面白いかな」「こんなものを撮ってみたいけど、撮影方法は?」という知的好奇心や思想に基づいて撮影しなければ、あまり意味がないということです。
狙ったものを狙い通り撮れるようになると、次にまた違う課題を自分で見つけまたそれを達成しようとする。それが上達していく何かなんだろう、ということを信じて今日も講座が終わる。
次回は、2025年6月12日(木)

第147回 の課題は、「2枚で1つの被写体を撮ってくる」
またまた、ロモインスタントです。1つの被写体を2枚に分割して撮影してきてください。まずは、シンプルで良いですよ。2枚あるから、短いものは長く、長いものは短く。ということもできるし、1枚では収まりきらない長いものを2枚に分けて撮るとか。まずは、どんな被写体が向いているかを考えてみよう!
では!
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